藤本山万葉展望台


07年 7月 22日




藤本山 
(飛鳥宮跡・伝飛鳥板蓋宮跡付近より)

真神原や稲渕の棚田を一望出来る飛鳥一番の展望台が藤本山です。
写真奥のピークが万葉展望台になります。
この山は飛鳥のほとんどの場所から見えているのですから、
逆に飛鳥中を見下ろせるのはあたりまえですね。
晴天で空気が澄んでいる時なら、大和盆地のほぼ全域を見渡せます。
また、二上山と信貴山の間からは、大阪のビル群やその向こうに六甲の山並みが見えます。
北には、若草山の北方に京都の山々を視認することも出来ます。





藤本山展望所

おおよその標高は450mです。
この藤本山へは、明日香村からも登れるわけですが、
急峻な坂道を上がらなければ到達できません。
しかし、多武峰までバスを使うことによって、楽々と来ることが出来ます。

多武峰からは、緩やかなアップダウンを繰り返しながら下ってくることになります。
所要時間は、おおよそ1時間程度です。


  

多武峰西大門跡                         細川への道との分岐

多武峰の西大門跡を抜け、冬野集落への分岐から西に向かいます。
ハイキング道としてはお馴染みの細川への道を通り過ぎ、
御破裂山を回りこむように北に向かいます。


  

三社神社                            紫蓋寺跡石垣

桜井市大字西口という地名になるのですが、合わせて数軒の集落があります。
三社神社は、その集落の鎮守社であるようです。
菊理姫命・大山祇命・市杵嶋姫命の三柱を祀るお社です。

紫蓋寺というのは、多武峰寺の奥の院とされていたお寺の跡です。
西国名所図会という書物にはこの紫蓋寺が書かれており、
嘉永六年(1853年)までは確実に存在していたことが分かります。
植林された山中に、石垣が随所に見えています。
この付近が両槻宮跡ではないかとも言われるようです。


   

  藤本山への林道               念誦崛(ねずき)への階段

少し進むと、山側に念誦崛(ねずき)があります。
念誦崛は、増賀上人が念仏三昧のまま入滅されたと言われる円墳様の石のドームです。
また念誦崛は斉明天皇が造営した両槻宮が、その名の起こりとも伝わるそうです。
ネズ(ヅ)キ = フタツキ 

日本書紀斉明天皇2年(656)、「田身嶺の頂に垣をめぐらし、
また嶺の上の二本の槻の木のそばに観(たかどの)を建て、
これを両槻宮(ふたつきのみや)と名づけ、また天宮(あまつみや)ともいった。」




念誦崛(ねずき) 増賀上人墓

増賀上人は、平安時代の参議「橘恒平」の子だそうで、
比叡山で慈恵に師事修行していたのですが、
多武峰に入り念仏にあけくれ、そのまま八十七歳の生涯を終えたのだそうです。
入滅の様子は、今昔物語にも記されているとか。
長保五年(1003)六月九日金剛印を結び没したそうです。

 また『徒然草』に「増賀ひじりのいひけむやうに名聞くるしく……」とあるようで、
名をなした高僧よりも念仏三昧に明け暮れた増賀上人をたたえたものだそうです。


  

北山分岐点                         上の役行者像と石仏 

道を北に進むと、桜井市大字北山との分岐に至ります。
道標もしっかりしており、地道の山道を下って行きます。

桜井市大字高家との分岐には、役行者と二体の石仏が立っています。
高家への道は、現在荒れたままになっているようで、
安易に踏み込まない方が良さそうです。
(数年前に下りましたが、道が崩れているところもありました。)




(かみ)の行者像

高家には、もう一体の役行者像があり、下(しも)の行者と呼ばれているそうです。



  

      藤本山への道           岡寺への道標を兼ねたお地蔵さま

ここからは、緩やかな下りの整備された山道が続きます。



  

    万葉展望台東側                      大字尾曽の集落 (天空の村)

展望台の手前からは、細川谷を越えて明日香村大字尾曽(おおそ)の集落が見えます。
この眺めから、尾曽を天空の村と名づけました。




真神原

藤本山万葉展望台からの眺望です。
残念ながらこの日は霞んでおり、足下の真神原さえくっきりとは見えませんでした。

藤本山万葉展望台を両槻宮の所在地だと考えるのも面白いかも知れません。
両槻会第四回・第五回定例会で、その可能性を楽しみたいと思っています。




雷丘







飛鳥寺







稲渕の棚田







橘寺以西の展望







甘樫丘豊浦展望台と和田池







畝傍山・二上山







上居より

藤本山からは、二つのルートで明日香村に下ることが出来ます。
一つは東山から小原へ、もう一つは上居から島庄へ下れます。
また、その途中からは岡寺参道にも出る事が出来ます。




柿山より

この日は島庄に下り、石舞台横で休憩を取りました。
藤本山から石舞台までは、おおよそ1時間弱。
これは、写真を撮りながら歩いたラップタイムです。

一緒に歩いた「河内太古さん」のページ♪

飛鳥好きが集まる「両槻会」の第四回定例会は、このコースを歩きます。
定例会では石舞台での休憩後に、
彼岸花が咲き始め、棚田オーナーさんの創作案山子が立ち並んだ案山子ロードに足を伸ばし、
初秋の飛鳥をたっぷり味わおうと思っています。

両槻会第四回定例会は、9月16日(日)に行われます。
ご興味のある方は、両槻会サイトをご覧ください。
事前申し込みをしていただくと、どなたでも参加していただけます。


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